Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

中嶋 洋介

イタリア

イタリア留学体験記

中嶋 洋介さん

工学部建築学科
留学期間:2014年9月~2015年6月
留学先:ヴェネツィア・カ・フォスカリ大学

留学先大学について

ヴェネチア・カ・フォスカリ大学は8つの学部で構成され、学生数は約19,000人います。また、留学生は各学期300人以上いて、日本語を勉強する学生は800人以上います。大学の各キャンパスは分離されていますが、科学系を除きすべての学部がヴェネチア本島の中にあり様々な分野の学問を学ぶことが可能でした。大学の授業はすべての学部において英語開講の授業が充実しています。もちろん、それ以上に多岐に渡るイタリア語開講の授業もあります。それらの授業はホームページ上で確認することができ、試験の際の登録などもホームページ上で行います。カ・フォスカリ大学の付属校として、CLA言語学校といわれる場所で、イタリア語やその他の言語を自分の適切なレベルで受講することが出来ました。基本的にサークルやクラブ活動などはありませんが、国際交流イベントや地域主催のイベントを開催する団体が存在し、国際交流を行う場は数多く提供されていました。また、大学主催の映画鑑賞会や他大学教授の講演会なども開催されていました。

学習面について

前期は全て英語開講のものを受講し、後期からイタリア語のクラスも受講しました。 カ・フォスカリ大学は学習面でのサポートも充実しており、特にサマースクールなどの留学生専用の授業や、CLAと言語学校でイタリア語も初歩的な部分から学ぶことができます。図書館は9:00~24:00まで開いています。館内にはカフェなど休憩する場所もしっかりとあります。日本と比べて授業はプレゼンテーションやディスカッションが多くスピーキングの能力を試される機会が多くありました。また、筆記試験だけでなく口頭試問の試験も数多くありました

生活について

前期は本島近くのジュデッカ島と言われる島に住んでいたので、毎朝水上バスで大学に通学していました。基本的に普通のバスと変わらないのですが、高潮やストライキがあるとすぐに水上バスは止まり、大学に行くのにものすごく時間がかかってしまうときもありました。後期は本島に住んでいたのですが、すべてのキャンパスに徒歩でアクセスできるので楽でした。イタリアの食生活について全く問題はなく、ピザ・パスタやラザニアなど、とてもおいしいイタリア料理を毎日堪能できました。ただ、観光地なので外食をしようと思うとかなり高めになります。水道水は危険な場合もあるんで、一年間水はスーパーで買いました。携帯はイタリアで新しいものを買い、一か月に1500円ほどチャージしたもので十分でした。Wi-Fiもヴェネチア本島中にあるのでネット環境は全く問題ないと思います。また、夜にはカンポ・サンタ・マルゲリータと呼ばれる広場でいろいろな大学の学生が集まり、毎晩のようにお酒を飲みながら交流する場となっていました。

留学で得たこと:

留学で得たことは本当に多く、書ききれないですがその中でも特に成長できたと思うことは、異文化理解です。ヴェネチアという場所は世界中の人々が憧れ、一度は住んでみたいと思う場所であり、本当にいろいろな国の留学生がいました。イタリア語のクラスで、同じクラスになったジョージア出身の女の子に、キリスト教について熱心に教えてもらい、一緒に教会を案内してもらったりもしました。そのときに、何かを信じることが人の人生を変え、「道しるべ」になっていることに本当に驚き、カルチャーショックを受けました。また、トルコやアゼルバイジャンの方々と料理を作りあったりして、言語の違いだけではなく食文化の違いを学ぶこともできました。やはり、土地によって育つ作物も違うので、地理的要因と食文化を比較しながら考えると、とても興味深く他国の食文化を理解することが出来ました。このように、さまざまな国からきた留学生と関わることによって、自分の外国人に対する壁を少しずつ取り除くことができました。その他にも得たこととして、いろいろな人に会い、自己紹介をして自分自身を表現していく中で、自分のアイデンティティーが日本人だという認識がはっかりとしました。自分の行動、考え方、話し方などの一部は日本独自であり、特に18年生まれ育った神戸に根本的に由来している部分がありました。このことをきっかけに、自分は日本人であり、他国から見た日本がどのようなものなのかさらに理解して、日本のことをもっと好きになりました、さらに自分が思っていたよりも世界での日本のイメージは良く、日本人であることに自身をもてるようになりました。また、自分の専攻分野である建築の世界でも、数多くの日本人建築家が西欧で活躍して偉大な作品を残している姿を見て、さらに自分もこうなりたいという目標ができました。

後輩へのアドバイス

これから、留学をする方へ。準備や語学など不安になることは多いと思いますが、一度足を踏み出せば10か月はあっという間でした。留学期間中は落ち着いて考える時間は少なく、一番落ち着いて考えられていた時期は留学前かもしれません。なので、留学に出発する前に本当に自分がしたいことが何なのか。それを達成するために何をやらなければいけないのかもう一度考えてみてください。僕はその作業を、もう少しできたのではないかと後悔しています。語学に関しては、どこまで勉強しても完璧はありません。しかし、語学はあればあるほど生活や授業が快適になります。目標を決めず、語学勉強はどこまでも突き進んで欲しいと思います。

また、留学を考えている方へ。正直に言うと無理に交換留学に申し込む必要は無いと思います。しかし、もし自分にやりたいことに海外が少しでも関係しているのなら考えてみるのがいいと思います。実際僕も、将来どうするか少し迷っていてふらふらした状態でしたが、人生の目標の中に西欧が深く関わっていたので留学することを決意して、語学勉強に励みました。後悔は全くありませんし、むしろ様々な失敗も将来の自分の成功のためにいい経験になったと思えるようになりました。留学までに、最初は一週間の海外旅行、次に一か月の海外ボランティア、そして10か月の留学と、少しずつステップを踏めたのもよかったのかもしれません。留学の方法にも、交換留学だけではなくワーキングホリデーやインターンシップなど留学の方法も様々なので自分に合ったものがあるかどうか一度探してみるのはどうでしょうか。